布団の中の大冒険
作家のアーシュラ・K・ル=グウィンさんが亡くなったそうですね。 彼女の作品で一番読んだのは『ゲド戦記』です。 知らずのうちにストレスがあったのか、 美大受験のときに胃腸炎になりました。 飲めないし食べれないし眠れないし(つらし・・・笑) どうしたものかな・・・という時にできることは読書。 そしてゲド戦記を読み始めたのでした。 才能あふれ、傲慢になった主人公が取り返しのつかない失敗をするところから冒険は始まります。 しょっぱなからそんな失敗をする主人公の児童小説は初めてだったので、 「な、なんじゃこりゃ!・・・おもしろい」 と、ぐんぐん読み進めました。 知らない国の人たちのお話ですが、 とても身近で、“人間”味を感じたのです。 ファンタジーだけど、ものすごく現実的。 (たぶん、よきファンタジーとはそういうもの。) 布団の中で、横たわりながら大冒険したあの時のことは忘れません。 船の上から見る海や、砂漠の風景。 海が落ちる、世界の果てにたどり着いた時のあの気持ち。 強い読書体験として、胸に刻まれています。 (ジブリ映画は全くの別物なので、ぜひ原作を読んでほしい・・・!) ル=グウィンさんのエッセイを読むと、気の強い女性であることがビシビシ伝わってきます 笑。 メアリー・ポピンズのトラヴァースさんもメッチャ気の強い女性だったみたいですが、それを思い出しました。 (女性の児童小説家の共通項なのか・・・?) でもなんだかその“気の強さ”って、 「こういう物語を子どもや人々に読んでほしい」 「これ!こういうことなの!これが大事なの!」 みたいな、小さい人間への想いや愛情と直結しているような気がしました。 ル=グウィンさん、ありがとう・・・! あの時胃腸炎で苦しんでいた私を救ったのはあなたの物語でした。 作家さんが生きているうちに、その作品を読めるのって奇跡みたいですよね。 同時代を生きられる奇跡。 また読み返したいな。